政府は、９月２７日に安倍元首相の国葬を行うことを閣議決定しました。
岸田首相は、なぜ国葬で行うかについて、首相在任期間や内政・外交の実績や国際社会からの評価などを挙げています。これに対し、野党やマスコミなど各界から反対や疑問の声が出ています。
私たちは、人の命を奪うことは、どんな理由があっても許されないことであり、また、故人や遺族の深い悲しみに思いを至し弔意を表することは市民ひとりひとりの自由であると考えています。しかし、国葬の実施には強く反対します。
第一に、私たちは、「アベ政治を許さない」をスローガンに、自公政権のすすめる政治を批判してきました。集団的自衛権を容認した安保法制の制定、憲法９条の改正策動、戦争のできる国づくり、アベノミクス、「森・加計・桜」などの政治の私物化など「アベ政治」の問題点を指摘してきました。これらを引き続きただしていくことの重要性が、国葬によって、曖昧にされることを懸念します。
第二に、国葬とすることで、安倍元首相礼賛の雰囲気がつくられ、弔意が強制されて、安倍氏の政治的評価に関する自由な論議や報道が損なわれるおそれがあります。「国葬」の実施は、憲法で保障された民主主義の根幹である内心の自由や表現の自由や報道の自由を脅かすものです。
第三に、国葬を行うことで、政治家と旧統一協会との関係など今回の銃撃事件の背景の解明に蓋をしてしまうおそれがあります。
第四に、そもそも、国葬については、法令上の根拠がありません。これを国会で議論することなく閣議だけで決めて膨大な国費を支出することは財政民主主義の点からも許されません。
ところで、山口県の村岡知事は、安倍元首相の県民葬実施の意向を示しています。しかし、すでに葬儀の際に、県教委が各学校に通知をしたように、県民葬に伴って県民に対して弔意の強制が行われることが予想されます。県民葬についても、国葬と同様の問題があります。私たちは、県民葬についても強く反対します。
２０２２年８月２日
市民連合＠やまぐち
共同代表一同