「山口県センチュリー裁判」全面勝訴/2022.11.2

【経緯】
「山口県センチュリー裁判」は、すでにコロナ禍にあった2020年8月に山口県が皇室の来県対応などの名目で、トヨタの高級乗用車センチュリーを2090万円で購入したことに対して、県民の目からして「これはおかしい」と元県職員の松林俊治さんが2021年2月18日に山口地方裁判所に提起した住民訴訟です。山口県は日頃から「県の財政がひっ迫している」としている中での購入でした。松林さんは、住民監査請求をしましたが、訴えは棄却されたため、不服として翌年2月に住民訴訟を提起しました。第1回弁論は2021年4月28日、それから9回の弁論が行われ、2022年11月2日に判決を迎えました。
また、この間並行して、21年4月に松林さんと支援者は、県議会に対し、県議長がセンチュリーで送迎されていながら議会招集費をもらっていることから、公用車による議長らの自宅送迎の中止、議会開会時の議員の招集費規定の見直し、分かりやすい予算書の作成、を執行部に求め陳情書を出しました。5月には、山口県監査委員会で、7名の請求人によって提出した住民監査請求(議長らに二重払いの旅費を返還するよう求める)での陳述を、3名の請求人が行いました。

【原告の全面勝訴/「地方自治の本旨」は生きている!(松林さんのコメント)
2022年11月2日、裁判長から判決文の主文が読み上げられ、満席の傍聴席は驚きと感動で包まれました。原告の申し立て通りの全面勝訴でした。直後に報告会が行われ、松林さんは「公務員は全体の奉仕者で公平公正であるべきだ、と辞めた後も持ち続けている、自分の矜持である。」、内山新吾弁護士は「司法として行政の税金の使い方、その決め方に対して大きな警鐘を鳴らした判断。素晴らしい判決。ひとりひとりの裁判官に感謝します。」と述べました。
 判決文には、「契約締結の本来的は権限を有する村岡知事の裁量権を逸脱又は濫用したものと評価するのが相当であり、その余の被告の主張を踏まえても、地方自治法2条14項等の趣旨に反する財務会計上の違法行為というべきである。」、「本件センチュリーの購入は、単に各課が使用する備品に関する内部経費の支出というにとどまらず、県政運営にも関わる重要な事項であるといえる。そうすると、村岡知事は、購入の段階で物品管理課から報告を受けるにとどまらず、本件契約の締結までに同課との間で適宜協議を持つべきであった。」と、村岡知事の裁量権の逸脱乱用と、県政の最高責任者としての行政責任、この2点が明確に述べてられています。

判決全文PDF

【山口県が控訴】
11月15日、山口県が広島高裁に控訴しました。村岡知事は外国出張中、不在での控訴でした。松林さんは「県民に対して不誠実で、大義のない控訴。原告としては一人ですが、原告団は山口県民、皆さんと一緒にこの訴訟を対応していきたいと思います。」と述べました。