「市民連合@やまぐち」言い出しっぺの纐纈厚さんに聞く(その2)

講演について

Q 講演なども果敢に取り組まれているとお聞きしていますが。

纐纈 昨年3月まで大学の理事・副学長を6年間仰せつかってきたこともあって、講演依頼は土日に限定されていたのですが、昨年の選挙が終り、大学も退職したことを聞きつけて下さった沢山の方から講演の御依頼を頂いています。日程の調整さえつけば御断りする理由がない限り出かけています。全国各地の方々と話すのは、とても良い勉強となりますし、情報収集の機会ともなりますね。加えて、学界関連の報告も多く頂きます。
 特に韓国・中国・台湾という私がひとつのフィールドにしている海外からのオファーを頂きます。今年8月に、韓国慶尚北道に所在する陜川(합천군)市で開催された反核平和を基調とするシンポジウムに招聘され、「アメリカの原爆投下責任」の演題で講演してきました。同地は〝韓国の広島〟と言われ、日本で被爆された方が韓国には約7000人おられるのですが、そのうちの約600人の方が御住まいです。同地には韓国被爆者援護会館があり、そこがシンポジウムの会場でした。また、8月6日には、同地に韓国初の「原爆資料館」がオープンしました。私はソウルで取材を受ける予定があったので、前日の5日に同地を離れましたが、特別にオープン直前の同資料館を案内してもらいました。日本でもNHKが5分間ほど丁寧に放送していました。
 また再来月には台湾の台東布農部落で「東アジアの歴史と文化:再興と未来」をテーマにシンポに招聘されています。同地は原住民ブノン族が生活する木彫りなどでも有名な場所です。台湾には現時点で国家から認定されただけでも、14の部族がありますが、中華民国の時代には差別され、ある意味では辺境に追いやられていた存在でした。ところが民進党政権の陳水扁が総統(大統領)に就任して以来、差別解消と固有の歴史文化を見直す運動が活発となりました。台湾は多民族・多部族が共存共生する社会となりつつあります。そうした台湾の取り組みは、多民族国家内部の融和を進めて行くうえでも貴重な手本となるものと思います。台湾は多民族共生社会なのです。そうした問題を論じ合うに、台東布農部落は適地なのですね。

Q これまでに出版された主な本には、どのようなものがありますか。

纐纈 下に主要な出版物と今年に入って発表した論文や評論など記載しています。その一部をPDFで読んで頂けるようにしました。それを御覧頂ければと思います。
ウィキペディア

Q 纐纈さんへの講演依頼が少なくないと思いますが、講演依頼する場合の方法や内容など教えて頂けますか。また、講演料などについても教えておいてもらえると助かります。

纐纈 確かに、いろいろな組織・団体・個人の方から講演の依頼を頂きますが、私への連絡先が不明な場合に、出版社や山口大学への問い合わせが続き、受けられた会社や大学に申し訳なく思っていたところです。それで、私のメイルに直接御相談頂ければと思います。
 私のメイルは、a.koketu@yamaguchi-u.ac.jp です。koketuにsを入れず、ローマ字書きとするところに御注意ください。
 私の講演依頼で一番多いのは、アジア太平洋戦争の実態とそれに絡む歴史認識問題、安倍政治の本質を中心とする現代日本政治の分析、自衛隊問題を中心とする日本の安全保障問題、東アジア平和共同体構築に向けての朝鮮半島問題をはじめとするアジア地域の政治問題などです。いずれも硬派なテーマが多いのですが、県や市からは人権問題についての講演を依頼されることも多いですね。
 講演料など一番気づかいされます。それは相談させて頂きますが、交通費だけは御願いしています。他の講演者との兼ね合いがあり、〝価格破壊〟行為もその逆も厳に慎まなければいけませんが、講演を生業としている訳でないので、お気軽に御相談願えればと思います。日程の都合がつけば、原則御断りする理由が無い限り、何処へでも出かけ、皆さんと大いに議論させて頂きたい、と思っています。